「頑張ってECサイトを立ち上げたのに売れない」「広告を出しても反応がない」
そんな声を、いまや珍しくなくなったEC業界の現場でよく耳にします。
かつては「商品を並べるだけで売れる」時代もありました。しかし今や、“売れないEC”が増えているのには、明確な理由があります。
この記事では、書籍『絶対に失敗しないECのやり方』第1章の内容をもとに
なぜ今「売れないEC」が増えているのか、そして、誰もが陥りやすい“3つの失敗の法則”を紹介します。
ECが「売れにくくなった」3つの時代背景
要因1:競合が激増。誰でも商品が作れる時代に

参入者が急増している背景には、次のような変化があります。
- OEMの普及:工場に委託すれば、知識や資金が少なくても自社商品を販売可能
- SNSの発信力:個人でも低コストで大勢に情報を届けられる
- モールの開放性:楽天やAmazonでも簡単に商品を並べられる環境
※OEM(Original Equipment Manufacturer)サービス=既存の工場に自社ブランドの商品を委託して作ってもらう仕組み
こうした「参入のハードルの低さ」が、逆に競争過多を生み出しています。
「サプリメントや化粧品、食品、雑貨など、かつてはニッチだと思われていた商品カテゴリーですら、Amazonや楽天といった大手ECモールを覗けば、無数の類似商品がひしめき合っています。」(書籍より引用)
昔と同じやり方を続けていると、気づかぬうちに競合に埋もれてしまうのです。
失敗の法則1:「競合増加の現実を軽視し、以前と同じ方法で売れると思い込む」(書籍より引用)
要因2:広告は“打てば当たる”時代じゃない

かつては、GoogleやYahoo!などのリスティング広告を出すだけで集客ができました。FacebookやInstagram広告も同様に、少ない予算でも売上が立つ事例が多くありましたが、今は違います。
- 広告費の高騰:クリック単価やCPA(Cost Per Acquisition=1件あたりの獲得単価)が上昇
- ターゲティングの精度低下:個人情報保護の強化により、広告の精度が不安定に
昔の感覚で広告を出すと、思わぬ赤字に陥るリスクもあります。
「以前と同じ感覚で予算を投下してしまうと、広告費だけがかさみ、赤字に陥るリスクが高まるのです。」(書籍より引用)
広告の効果が見込めないと、利益どころか運営自体が難しくなるケースも。
失敗の法則2:「広告コストの高騰を無視し、昔の指標で収支計画を立てる」(書籍より引用)
このように、商品力やブランディングだけでなく、「広告の使い方」自体も見直しが必要です。
要因3:「暇つぶしにネット通販」はもう過去の話

スマートフォンとSNSの普及により、消費者の可処分時間はエンタメに吸われています。
YouTube Shorts、TikTok、Instagramリールなどの短尺動画は、スクロールひとつで無限に楽しめます。
この状況下で、ECサイトにじっくり目を通す時間がそもそも確保されなくなっているのです。
「消費者が自分の可処分時間をエンタメ系コンテンツに費やすほど、純粋なショッピング目的以外でECサイトに流入する可能性が下がるからです。」(書籍より引用)
つまり、ただ商品を並べて「見てもらえる」のを待っていては、存在にすら気づかれないという現実があるのです。
失敗の法則3:「消費者が“暇つぶし”にショッピングサイトを見る時代はもう過去だと気づかない」(書籍より引用)
つまり、良い商品を作っただけでは見てもらえない。届け方・伝え方の再設計が求められています。
「努力が足りない」のではなく、「前提が変わった」だけかもしれない

多くのEC事業者が、「やっているのに売れない」ことで自信をなくします。しかし、それは“あなたの努力不足”ではなく、時代のルールそのものが変わっているからです。
本書では、こう語られています。
「『売れない』という現象から目をそらすのではなく、その中身を分析し、『自社がどこで失敗の法則にはまり込んでいるのか?』を正しく見極めることが、成功への第一歩です。」(書籍より引用)
この「見極め」の第一歩として、次に知っておくべきは──
多くの人が陥りがちな“典型的な失敗パターン”です。
次回の記事では、ECで“やっているのに売れない”2つの典型パターンと抜け出す視点についてご紹介します。
書籍では、変化の「全体像」と「抜け出し方」を詳しく解説
本記事で紹介したのは、書籍『絶対に失敗しないECのやり方』第1章のほんの一部です。
本書では以下のような内容がより深く、実践的に展開されています。
- EC市場の構造変化と“売れない現象”の正体
- 陥りやすい“失敗の法則”の全容と回避の考え方
- 「なんとなくの努力」から「売れる仕組み」への切り替え方
- 広告やSNSよりも大切な“関係構築”という視点
読者の声(口コミ)

「売上が伸び悩んでいた理由が“なんとなく”から“構造的”に理解できました」

「小規模でも自分らしい戦い方があると気づけた。広告にビクビクしなくなった」

「難しい言葉が少なく、具体例とチェックリストが多くて助かる。EC1〜2年目の人に絶対おすすめ」
まとめ|「自分のせい」だと決めつける前に、時代のルールを見直してみよう
今、ECが売れにくくなっているのは、あなたのせいではありません。
市場構造・広告環境・消費行動──すべてが大きく変わった今、変化に気づけるかどうかが成否を分けるのです。
その最初の一歩として、ぜひ本書を手にとってみてください。現状に合った「売れる理由」を一緒に見つけていきましょう。

絶対に失敗しないECのやり方
著者:広瀬 裕 鈴木 陽介
定価:1200円
出版社:株式会社インターコード
本書について
個人〜中小規模のEC事業者に向けて、
「どうすれば安定して売れ続ける仕組みをつくれるのか?」を体系的に解説した一冊です。