「売れたことはある。でも続かない」「良い商品なのに、なぜ売れないのか分からない」
こうした悩みを抱えるEC事業者に共通するのが、「売れた理由」が明確に言語化されていないこと。
前回の記事では、書籍『絶対に失敗しないECのやり方』第2章をもとに、「ヒト・モノ・コト」という3つの視点から、売れる理由を“構造”として見直す方法をご紹介しました。
今回は、さらに一歩踏み込んで、その3つの要素をどう深掘りし、改善に活かすかについて解説していきます。
売れる理由のカギは「ヒト・モノ・コト」にある

本書ではこう述べられています。
「売れる理由をシンプルに把握するフレームワークとして、『ヒト』『モノ』『コト』の3要素という考え方を使います。」
(書籍より引用)
この3つが相互に関係しながら、お客様が“なぜその商品を買ったのか”を支えているのです。
「モノだけ」では勝てない時代
「モノ要素(商品の魅力)だけに頼ると、似たような商品にすぐ真似される」
(書籍より引用)
たとえば、ある雑貨系ECサイトB社の例。
「デザイナーと組んで美しいパッケージのアロマキャンドルを開発し、SNSで話題になったが、“ヒト”や“コト”の要素が弱く、価格競争に巻き込まれて撤退を余儀なくされた」
(書籍より引用)
いまは、良いモノがあるだけでは売れ続けません。
「誰から買うか」がブランドの差になる──ヒト要素
では、どうすれば選ばれ続けるECになるのか?
答えのひとつが、「ヒト要素」の強化です。
「オーナーの人柄やコミュニティ感、サービス精神などがヒト要素を形作ります。」
(書籍より引用)
実際に、無添加お菓子を販売するC社の事例では──
「女性店主がSNSで日々レシピや育児の話を投稿し、共感層のファンコミュニティが形成されたことで、ブランド力を高め、大手との取引にもつながった」
(書籍より引用)
発信は売上の“直接的な説明”ではなくても、“誰から買うか”という信頼の土台を作っていたのです。
提案軸を変えると売上が激変する──コト要素
もう一つのカギが、「コト要素」、つまり“どう売るか”の工夫です。
「提案軸や打ち出し方を変えるだけで売れ方が大きく変わることがあります。」
(書籍より引用)
D社のフルーツシリアルの例は、その対極。
「“健康志向な人向け”として販売したが、似た商品が多く差別化できずに赤字。競合他社は“夜食の置き換え”や“ママと子の栄養サポート”などで売上を伸ばした」
(書籍より引用)
伝え方ひとつで、“同じ商品”がまったく違う市場に刺さるのです。
今すぐできる第一歩:「声を拾って、ヒントに変える」

これらの要素を育てるには、「自分で考える」だけでは限界があります。
では、どうすればいいのか?
それは、“お客様の声”の中に答えを探すことです。
- SNSのDMやLINEでのやり取り
- レビューの中の何気ない一言
- 「なぜ買ったのか」への素朴な理由
これらの声に耳を傾け、「なぜそう思ったのか?」「どこで迷ったのか?」とツッコミを入れることで、本当のニーズが見えてきます。
次回予告|「ヒト・モノ・コト」は“育てる”もの
ここまで「ヒト・モノ・コト」の3要素と、お客様の声をもとにそれを再設計する視点をご紹介しました。
次回の記事では、これらの3要素をどう“育てて”いくのか?
短期視点ではなく、中長期でブランドを磨く戦略について詳しく解説していきます。
本書で学べる「顧客の声を“設計図”にする方法」
書籍『絶対に失敗しないECのやり方』では、以下の内容を実践的に学べます。
- 顧客インタビューの質問例・深掘り例つき
- 「なぜこの商品を買ったのか?」を構造的に言語化するフレーム
- DM/LINE/チャット等で使える対話術と実践ステップ
顧客との対話を“売上につながる情報”に変える方法が詰まった一冊です。
読者の声(口コミ)

「売上が伸び悩んでいた理由が“なんとなく”から“構造的”に理解できました」

「レビューやSNSで拾ってた“なんとなくの声”が宝の山だったと気づけた」

「難しい言葉が少なく、具体例とチェックリストが多くて助かる。EC1〜2年目の人に絶対おすすめ」
顧客の本音に“ツッコミ”を入れることで、売れる仕組みが見えてきます。

絶対に失敗しないECのやり方
著者:広瀬 裕 鈴木 陽介
定価:1200円
出版社:株式会社インターコード
本書について
個人〜中小規模のEC事業者に向けて、
「どうすれば安定して売れ続ける仕組みをつくれるのか?」を体系的に解説した一冊です。